PFAS問題:専用水道調査で浮かび上がった現状と課題

近年、健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)の問題が注目を集めています。そんな中、環境省と国土交通省が、2020年4月以降約4年半にわたる「専用水道」の全国調査結果を24日に公表しました。この調査で明らかになった現状と今後の課題について掘り下げてみます。 

調査結果の概要 

全国約8,000箇所の専用水道のうち、回答があった1,929件について分析した結果、42件の施設で国が定める暫定目標値を超えるPFASが検出されました。さらに、調査期間後に国設専用水道からも2件の超過が報告されています。 この暫定目標値とは、PFOSとPFOAという代表的なPFASの合計が1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)を超えないようにする基準です。基準を超えた44件のうち、26件ではすでに上水道への切り替えなどの対策が完了。14件ではボトルウォーターの配布などの応急対応を実施中で、残り4件は今後の対応が予定されています。 

問題の深刻さ:最大30倍の濃度も 

特に深刻だったのが、自衛隊施設や刑務所などの国設専用水道です。

 • 府中刑務所(東京都)

 • 陸自小平駐屯地(東京都) 

• 陸自東立川駐屯地(東京都) 

• 空自府中基地(東京都) 

• 空自岐阜基地

 • 空自芦屋基地(福岡県) 

これらの6箇所で暫定目標値を超えるPFASが検出され、空自芦屋基地ではなんと30倍の濃度が記録されました。 過去に公表された「上水道事業」の調査結果では、2024年度には基準を超えた事例はありませんでしたが、過去14事業で暫定目標値を上回るケースが確認されていました。現在、基準を超えるPFASが検出された場合でも、自治体や水道事業者に対応義務は課されていないのが現状です。

専門家会議の今後の課題 

暫定目標値を単なる指標ではなく「水質基準」として法的に義務づけるべきかどうかが、今後の焦点となっています。専門家会議での議論が進む中、多くの人々の安全な飲料水の確保が求められています。 

エピローグ:

水の一滴に未来を託して 水は私たちの命の源。今回の調査結果は、私たちが何気なく使っている水の安全性を改めて考え直すきっかけとなりました。国や自治体の対応も重要ですが、私たち一人ひとりがこの問題に関心を持つことが、解決への第一歩となるはずです。

 安全な水を守るために、今できることを考え、未来の世代へとつながる「一滴」の価値を大切にしていきたいものです。 

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