フィリピン全域でデング熱の感染者が急増する中、マニラ首都圏にあるアディションヒルズ村がユニークな対策に乗り出した。その名も「蚊バウンティ作戦」。 「1ペソ(約2.6円)で蚊5匹、どや?」—— そう、村はデング熱を媒介する蚊に懸賞金をかけたのだ。生死は問わず、持ってきた数に応じて現金が手渡される仕組み。まるでRPGゲームのクエストのようだ。
村人たちの熱意、専門家の懐疑
このアイデアを考案したのは、カルリト・セルナル村長。彼は、清掃活動と組み合わせることでデング熱の拡散を抑える「大きな効果」が期待できると語る。 実際、村役場には懸賞金を目当てに、蚊を入れたバケツやカップを持った村人たちが長蛇の列を成した。彼らの表情には、ちょっとした「ハンター気分」が漂っている。 しかし、フィリピンの保健当局や専門家たちは、この取り組みに懐疑的だ。公衆衛生の専門家アンソニー・レチョン氏は「ほとんど、あるいはまったく効果がない」と断言。中には「小銭を稼ぐために蚊を養殖する輩が出るかもしれない」という懸念も……。
デング熱の現状と正攻法
フィリピンでは2023年に16万7,355人がデング熱に感染し、575人が命を落とした。2024年も感染者数は前年同期比40%増と深刻な状況が続いている。 そんな中、フィリピン保健省のアルベルト・ドミンゴ報道官は、「最も効果的な対策は、基本に立ち返ること」と強調。 「早急に周囲を清掃し、よどんだ水がたまる場所をなくせば、より効果的に闘える」 虫除けや長袖での対策も重要とのこと。たしかに、「1ペソで蚊を駆除する」より「そもそも発生させない」ほうが理にかなっている。
蚊バウンティの未来は……?
さて、この「蚊バウンティ作戦」、今後どうなるのか? 果たして村の蚊は減るのか、それとも「養殖業者」が登場して逆に増えてしまうのか? それは誰にも分からない……。 ただひとつ確かなのは、もし私がフィリピンに住んでいたら、今頃ベランダで「蚊ファーム」を開業していたかもしれない、ということだ。
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