最近、千葉県で耳にするようになった謎のワード——**「キョン」**。
名前だけ聞くと可愛い響きですが、その実態を知るとちょっと驚きます。
「中国や台湾の動物?」「勝浦から逃げ出したってどういうこと?」
今回は、そんな謎多き動物「キョン」と私たちがどう付き合っていくべきか、動物行動管理学の専門家・麻布大学の加瀬ちひろ先生のお話を交えながら考えてみたいと思います。
そもそも、キョンってどんな動物?
キョンは鹿の仲間。体高は50cmほどで中型犬サイズ、見た目は少し小ぶりなバンビみたいな感じです。
特徴はなんといっても鳴き声。「ギャー!」と叫ぶように鳴きます(夜中に聞いたらかなりびっくり…)。
オスには角と牙があり、メスは生後半年ほどで繁殖可能になるなど、繁殖力の高さがポイント。しかも、運動能力も高く、ジャンプ力は約80cm!野山をヒョイヒョイ移動していきます。
なぜ千葉で増えているのか?
もともとは観光施設から逃げ出した数頭のキョン。
しかし、千葉の温暖な気候と豊かな農作物のおかげで、今では推定8万6000頭!
県が2023年度に捕獲したのは約1万頭でしたが、自然増加率が18~34%といわれているため、年に2万頭以上捕獲しないと減らないという計算に。増加のスピードに対策が追いついていないのが現状です。
「排除」だけでいいのか?
確かに農作物を食べたり、生態系に影響を与えるなどの問題はあります。でも、捕獲だけでは限界があるというのも事実。
そこで加瀬先生が提案するのが、「農作物を守ることで栄養を与えない」という方法。
電気柵や高い防護柵で畑への侵入を防ぐことで、キョンの栄養状態をコントロールし、繁殖力を下げる。これが新たなアプローチとして注目されています。
そして、キョンとの「未来の関係」
最近ではキョンをジビエ料理として活用する試みや、テレビ番組での紹介も増えてきました。
でも、その一方で考えるべきこともあります。
もしも、キョンが「野良猫」のように、日常的に見かける存在になったら?
単に「害獣」として扱うだけでなく、**“共存”という視点**も必要なのかもしれません。
加瀬先生もこう語っています:
> 「私たちはキョンをどこまで理解しているのか。野生動物との向き合い方が問われている気がします」
最後に
「ギャー!」と叫ぶキョンが、ある日あなたの庭に現れたら?
最初はびっくりして追い払うかもしれません。
でも、それが日常になったとき——
もしかしたら、名前をつけて話しかけてしまう自分がいるかも(笑)。
「害獣」か「隣人」か。
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