おびひろ動物園の「キリン館」奮闘記:メープルたちの新居引っ越し大作戦

北海道・おびひろ動物園では、アミメキリンの引っ越しが大きな挑戦となっています。

昨年夏に完成したばかりの新しい獣舎「キリン館」は、全国でも珍しいガラス張りの屋内展示室を備えた、キリンたちにとってはまさに豪華な新居。しかし、警戒心が非常に強いキリンたちにとって、新しい環境に足を踏み入れるのは一大決心が必要なのです。

動物園には、雄のメープル(10歳)、雌のユルリ(8歳)、そして2歳の子どもユメタの3頭が暮らしています。ガラスに映る自分の姿に驚いたり、透明な壁に戸惑ったりして、新居への一歩が中々進まない2頭を前に、飼育員の片桐奈月さん(34)は毎日根気強く餌を使って誘導。その努力が実り、一時は前進したかに見えましたが、突然また拒否するように…。

冬はアフリカ生まれのキリンにとっては苦手な季節。トレーニングも中断せざるを得ず、4月中旬からようやく再開したところ、再び一からやり直しの状態です。

とはいえ希望の光はあります。ユルリはメープルを信頼しているため、今後は2頭を同じ空間で過ごさせ、メープルのリラックスした様子から「ここは安全な場所」と感じてもらう作戦がスタートしました。

目標は「この夏までに引っ越し完了」。しかし、お披露目にはもうひと段階。睡眠や行動の安定を確認してから、ようやく新しいキリン館での展示が始まる予定です。

片桐さんは「キリンはとても臆病。だからこそ、一歩一歩を大切に。どうかあたたかく見守ってください」と話します。

新しい生活に慣れるには、キリンも人間も時間が必要。動物たちが安心して過ごせる環境づくりは、飼育員さんたちの情熱と愛情があってこそ。夏には笑顔でキリンたちが新居に立っている姿を見られる日を、楽しみに待ちましょう!

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