5月のある日、熊本・天草の海が一瞬にして「神秘の世界」へと変貌しました。海を覗き込むと、そこには無数の小さな赤い点がふわふわと漂っていたのです――その正体は「クリイロカメガイ」。クリオネの仲間とも言われる、小さな巻き貝の一種です。
場所は天草市牛深町・築ノ島付近。映像を撮影したのは、ダイビングスクール「ブルーアース21くまもと」を営む水洗壽男さん。彼も20年以上天草の海を見てきたプロですが、「こんな大量のクリイロカメガイは初めて」と驚きを隠せませんでした。
クリイロカメガイは温熱帯の海に生息し、翼のようなヒレで優雅に泳ぎます。その姿はまさに「小さな天使」。しかし、数万匹ともなれば…それはもう、幻想というより異世界のような光景です。
ちょうどその日、東京から訪れていた伊藤遼さん・希実さんご夫妻が水中結婚式を挙げており、偶然にもこの神秘的な大群に遭遇。「1匹だとかわいいけど、あんなにたくさんいるとちょっと…(笑)」というリアルな声も印象的でした。
専門家によると、この大量発生の原因は、暖流に乗ってきた個体が南西の風によって沿岸に寄せられた可能性があるとのこと。御所浦町でも同様の目撃情報があり、まだまだ謎は尽きません。
漁業への影響は今のところないものの、海の奥深さを感じさせられる出来事でした。海の中には、私たちが想像もしない生命の営みが広がっている――そう思わされる、不思議な春の出来事でした。
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