私たちが住む宇宙には、想像を超えるスケールの出来事が起こっています。その一つが、国立天文台などの研究チームが発見した「超巨大ブラックホールの大集団」です。
ブラックホールといえば、光さえ逃げ出せない暗黒の存在。しかし、今回見つかったのはただのブラックホールではありません。周囲のガスを猛烈に吸い込み、まるで星のように輝く「クエーサー」と呼ばれる超巨大なもの。そのクエーサーが、なんと11個も4000万光年の範囲にひしめき合っていたのです。
この発見の驚きは、数の多さだけではありません。その配置にも秘密がありました。なんと彼らは、銀河の“すき間”、つまり2つの銀河団の中間地点に並んでいたのです。
「まるで宇宙のヒマラヤだ」と研究チームは語ります。
普通、こうした超巨大ブラックホールは、銀河同士がぶつかって物質が中心に集まる場所に現れます。しかし今回のような中間領域に現れるのは異例。これまでの「ブラックホールは銀河の心臓部で育つ」という常識が揺らいでいるのです。
さらに調べてみると、クエーサーたちは中性ガスと電離ガスの“境目”に沿って分布していることが判明。この「境界線」は、まるで宇宙が大きく変わる“節目”を示しているかのようです。
偶然ここに集まった可能性?――その確率は“10の64乗分の1未満”、いわば「ほぼゼロ」です。まるで天が描いた宇宙の設計図を覗き見ているような発見でした。
この構造が今後どのように進化していくのか、宇宙の中でどんな役割を果たすのか。研究者たちは、すばる望遠鏡などを使い、さらなる謎の解明に挑みます。
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