「飲んだら、泳がない」──夏の海で命を守るために知っておくべきこと

暑い夏、青い海、冷たいビール。そんな楽しい夏の光景の中に、実は命を脅かす落とし穴が潜んでいることをご存じですか?

それが「酔泳(すいえい)」――飲酒して泳ぐことによる水難事故のリスクです。

 アルコールと水辺の相性は最悪

日本ライフセービング協会(JLA)によると、全国の海水浴場などで報告された救急搬送事例のうち、約2割が飲酒を伴っていたそうです。

また、2024年には、飲酒して泳いだ男性が命を落とす痛ましい事故も実際に報道されました。

君津中央病院の北村伸哉医師(JLAメディカルダイレクター)は、次のように警鐘を鳴らします。

> 「アルコールを摂取すると判断力が落ち、平衡感覚も失われます。足元がふらつき、たとえ浅瀬でも簡単に溺れてしまう可能性があるのです」

つまり、泳ぎの得意・不得意に関係なく、酔った状態で水に入ること自体が非常に危険なのです。

飲酒禁止のルールはあっても…

例えば、神奈川県逗子市では2014年から条例により砂浜での飲酒を禁止しています。

ただし、海の家での飲酒は「店員が管理できる」という理由で認められており、完全な禁酒エリアではありません。

ルールがあっても、それを守るのは利用者一人ひとりの意識です。

砂浜でバーベキューや音楽を流す行為も原則禁止されていますが、3回以上の注意にも従わない場合には退場が勧告される厳しい体制となっています。

家族の笑顔を守るために

北村医師は言います。

> 「目の前で子どもが溺れたとき、大人が酔っていたら助けられません」

この一言が、すべてを物語っています。

大切な人の命を守るためにも、「飲んだら、泳がない」このシンプルで強いメッセージを、私たち一人ひとりが心に刻むことが必要です。

 最後に:夏を楽しむために、命を軽んじない選択を

楽しい夏の思い出が、悲しい事故で終わらないために。

海や川でのひとときを心から楽しむには、ルールを守ること、そして「自分は大丈夫」と過信しないことが何よりも大切です。

この夏、水辺で過ごすあなたとあなたの家族が、無事に帰ってこられますように。


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