日本産科婦人科学会(日産婦)が、体外受精で得られた受精卵の染色体を調べる 着床前検査(PGT-A)の対象を広げる方針を発表しました。これまでは流産や死産を繰り返す夫婦などに限られていましたが、今後は 35歳以上の女性 を目安に、不妊症で悩む高年齢の夫婦にも適用されるようになります。
染色体異常は流産や不妊の大きな原因とされ、検査によって正常な受精卵を母体に戻せば、妊娠率の向上や流産の減少が期待されます。とはいえ「命の選別につながるのでは」という倫理的な議論が根強く、これまで対象はかなり限定されていました。
しかし、近年の研究や海外のデータでは、高年齢の患者に対して有効性が示されつつあることから、学会としても一歩踏み出す決断をしたようです。
一方で、日産婦の三浦清徳委員長は会見で「ダウン症などを排除するスクリーニング目的ではない」と強調。あくまで流産や治療の負担を減らすための医療的サポートである点を明確にしています。
📝 まとめ
体外受精に挑む夫婦にとっては、精神的にも身体的にも大きな負担があります。そこに「選択肢が増える」ことは、たしかに希望につながるかもしれません。
ただ、検査を受ければ必ず赤ちゃんに会えるわけではなく、費用や倫理的な問題も残ります。
――つまり、「魔法の検査」ではなく「一つの選択肢」にすぎないのです。
でも、それでも…赤ちゃんを望む夫婦にとっては、選択肢が一つ増えるだけで心が少し軽くなる。
今回の決定は、そんな“心の支え”としての意味合いが大きいのかもしれませんね。
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