赤トンボはどこへ行った? 奈良で1000分の1に激減の衝撃 秋空に映える赤トンボ

その代表種「アキアカネ」を、最近あまり見かけなくなったと思いませんか? 奈良県内でも、平城宮跡歴史公園などで群れ飛ぶ姿はまだ見られますが、実は30年前の100分の1から1000分の1にまで激減している地域があるのだそうです。これはかなりショッキングな数字です。

 アキアカネの一生と田んぼの関わり 

 アキアカネは秋に田んぼの土の中に卵を産みます。 春、水が引かれた水田で卵がかえりヤゴとなり、夏前には稲の茎などで羽化。 羽化したばかりのころはまだ赤くなく、暑さを避けて山で夏を過ごし、稲刈りのころに真っ赤に色づいて平地に戻ってきます。 昔から稲作とともに暮らし、日本の秋を象徴する存在。だからこそ、田んぼの減少や農薬の影響はアキアカネにとって致命的です。

  減少の原因は? 

 2000年ごろから個体数の減少が目立ち始めました。 背景にはいくつもの要因が重なっています。

 * 天然の湿地が開発で失われたこと

 * 水田の乾田化が進んだこと 

* そして決定的なのが ネオニコチノイド系農薬。アキアカネに強く作用し、生き残るのが難しくなったといわれています。 

 石川県の調査では、1989年には水田の8割で羽化が確認できたのに、2009年にはわずか2割以下に…。全国的にも絶滅が心配されるレベルです。

 未来に赤トンボを残すには ただ希望もあります。

水田が増え、農薬の使い方を見直せば、アキアカネの数は回復する可能性があるのです。 

 「人間の暮らしが変われば、赤トンボが舞う日本の原風景も残せる」 奈良教育大の小長谷准教授の言葉は、私たちに問いかけているようです。

 終わりに 

昔は当たり前のように見上げていた赤トンボ。 

もし来年、あなたの周りで赤い影を見つけたなら――それは自然が「まだ間に合うよ」とささやいているのかもしれません。 

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