こんにちは。今日は、ニュースでも話題になった「キョウチクトウ(夾竹桃)」という植物についてお話しします。
「公園でよく見るあの花が、実は猛毒を持っている」──そう聞くと驚かれる方も多いのではないでしょうか?
🌺 美しいけれど危険な花 ― キョウチクトウとは?
キョウチクトウはインド原産の常緑低木で、ピンクや白、赤など鮮やかな花を咲かせます。
暑さや乾燥に強く、街路樹や公園、学校などにも植えられています。
しかし――
この美しい植物のすべての部位(根・茎・葉・花)に、「オレアンドリン」という猛毒が含まれています。
しかもその毒性は青酸カリよりも強いといわれているのです。
💀 味噌汁に混入…現実に起きた恐ろしい事件
今夏、千葉県で男子高校生がキョウチクトウの葉を刻み、伯父の味噌汁に混ぜたという事件が発生しました。
幸い伯父は味に違和感を覚えてすぐ吐き出し命を取り留めましたが、
混入されていた量は致死量に達していたといいます。
ほんのわずかでも、心臓に直接作用して不整脈や心臓麻痺を起こす危険があるという恐ろしさ…。
まさに「触れてはいけない美しさ」です。
🐕 人やペットも要注意!
中村耕さん(東京都薬用植物園 主任研究員)によると、
キョウチクトウの枝を燃やした煙を吸うだけでも中毒症状を起こすことがあるそうです。
また、犬の散歩中に枝や落ち葉を口にしてしまい、
嘔吐・下痢・呼吸困難を引き起こすケースもあるとのこと。
「少しだから大丈夫」と思わず、
もし口にしてしまった場合はすぐに病院や動物病院を受診してください。
🌸 広島では「復興の象徴」として愛される一面も
一方でキョウチクトウは、広島にとっては特別な花でもあります。
原爆投下後、「75年間は草木も生えない」といわれた焦土で、
翌年の夏に最初に咲いた花がこのキョウチクトウ。
その強い生命力は市民に希望を与え、
現在も「広島市の花」として愛されています。
毒を持ちながらも「復興の象徴」として咲く姿には、
どこか人間の強さや再生の象徴のような美しさを感じます。
🌼 有毒植物は意外と身近に!
キョウチクトウだけでなく、
タマネギやニンニクと見間違えやすい「イヌサフラン」や、
スイセン・バイケイソウなども誤食による中毒事故が多発しています。
厚生労働省のまとめでは、過去10年間で726人が中毒、18人が死亡。
「食べられそうに見える」植物でも、見た目だけで判断するのはとても危険です。
🌱 まとめ ― 美しさの裏にある「命の危険」
キョウチクトウは、見る分にはとても美しい花です。
ですが、「青酸カリより強い毒性」を持つことを忘れてはいけません。
私たちが自然を楽しむとき、
“知識”が命を守る最大の防御になるのです。
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