秋の風物詩「目黒のさんま祭」。
10月12日、東京・目黒の街に立ちのぼる白い煙と香ばしい匂いが、秋の訪れを知らせていました。
今年の祭りには、なんと1500人の区民が参加。
抽選倍率は13倍超──まさに“サンマ争奪戦”です。
会場では気仙沼産のサンマが炭火でパリッと焼かれ、噛めば脂がじゅわっと広がる。
「これぞ秋の味覚!」と笑顔があふれました。
🔥 「豊漁」? でも、それは“見せかけ”かもしれない
会場では追加配布のアナウンスが流れ、当選していなかった人たちが一斉に受付へ。
わずか5分で長蛇の列。
4年連続で外れていたという夫婦も、ようやく引換券をゲットして嬉しそう。
「身がしっかりしていて香ばしい!」と満足げな笑顔を見せていました。
──ところが、今年の「豊漁」には、ちょっとしたカラクリがあるようです。
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🌊 サンマの気まぐれな回遊ルート
北海道・根室では、今年の初水揚げが173トン。
去年の2.6倍と聞けば「豊漁だ!」と感じますが、専門家は首を横に振ります。
水産研究・教育機構の冨士泰期主任研究員によると、
> 「ピーク時に比べればまだ非常に少ない。たまたま条件がかみ合って取れただけ」
近年、サンマの群れはロシアのEEZ(排他的経済水域)を通るルートを選ぶことが多く、
日本の漁船がなかなか近づけない状態でした。
しかし今年は海水温の変化で、サンマの群れがロシアの海域に入らず、
日本側の沖合を南下するルートに。
それで“たまたま”たくさん獲れた──というわけです。
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📉 16年で9分の1に激減、そして…
ピーク時の漁獲量と比べると、今はわずか9分の1。
「豊漁」と聞いて安心するのはまだ早いようです。
来年以降の見通しも、専門家たちは「まだ読めない」と慎重な姿勢を崩しません。
とはいえ、今年の“さんま祭”の煙の向こうには、
「やっぱり日本の秋はこれだね」と笑う人々の顔がありました。
そして、ある来場者の一言が印象的でした。
> 「サンマは少なくても、幸せの匂いは“豊漁”でした」
──どうやら、本当に“満たされた”のはお腹だけじゃなかったようです。🐟✨
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