今年の夏、私たちは“記録的な猛暑”という言葉を何度も耳にしました。
けれど、暑さの影響は陸だけでなく、海の中にも広がっているようです。
東北地方のホタテ養殖が、今、深刻なピンチに立たされています。
ホタテは水温25度を超えると弱りはじめ、27度になると命の限界。
「夏の海」は美しいだけでなく、彼らにとっては過酷な試練の季節でもあります。
🌊 陸奥湾のホタテ、暑さに耐えきれず
青森県の陸奥湾では、9月10日時点で海水温が26度を突破。
平年より3〜4度も高く、養殖業者たちは慌ててホタテのかごを水深のある冷たい層へ沈めました。
けれど、自然相手では限界があります。
青森・岩手・宮城の3県ではここ数年、生産量が激減。
青森県の養殖ホタテは、2022年に約7万8千トンあったものが、
2024年には3万1千トン、今年はついに2万トン程度にまで落ち込む見通しです。
日本一の産地・北海道が8万トンを養殖で確保しているのに対し、
東北の海は、年々その輝きを失いつつあります。
🧫 政府も動く、「高温に強いホタテ」開発へ
水産庁は2026年度予算の概算要求に、
「高温に耐えられるホタテの研究費用」を初めて盛り込みました。
まさに、“ホタテの未来を救うプロジェクト”が動き始めたのです。
「夏の海でも生き抜けるホタテを育てたい」
現場からは、そんな切実な声が上がっています。
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🐚 そして…
青森の漁師さんに、ホタテの現状を尋ねたときのこと。
「昔は“海の冷たさ”が自慢だったけど、今は“暑さとの勝負”だべ」と苦笑い。
そしてこう続けました。
> 「でもな、海も人も、頑張ればまた“うまい時期”が来る。
> それ信じて、今日も海さ出るんだ。」
──潮風に混じるその言葉に、少しだけホタテの声が聞こえた気がしました。
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