〜北海道の海でいま、何が起きているのか〜
10月20日、北海道で秋サケ漁が終了した直後。
島牧村の漁師・久慈智彦さんの網に、見慣れないピンク色の魚体が次々と――。
それは、マダイでした。
普段なら本州の温暖な海で獲れる魚が、冷たい北海道の海に「押し寄せるように」入ってきたというのです。
🌊北海道の海にマダイ? その理由は“海の温度”
マダイが好むのは15〜25℃の水温。
一方、北海道の海はこれまで冷たすぎて、タイが定着することはほとんどありませんでした。
ところが近年、状況は一変。
> 「ここ20年ほどで、夏の海水温が約3度上がっている印象です」
と久慈さん。
本来なら9月下旬には20℃を下回るはずの水温が、
最近では10月中旬まで20℃を超えることもあるといいます。
海の“気温カレンダー”が、静かにズレているのです。
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### 🐠タイの群れは「一過性」? それとも「新しい主役」?
久慈さんは「南から来た群れがたまたま網に入っただけ」と語りますが、
一方で「ここ数年、確実に増えてきている」とも。
マグロが釧路で揚がった例もあり、
数十年、百年単位で見れば、魚たちの“勢力図”はゆっくりと塗り替えられているのかもしれません。
⚓「その時の海に合わせるしかない」
久慈さんが最後に語った言葉が印象的でした。
> 「毎年、同じ魚が同じように獲れるとは限らなくなってきました。その時その時の海に合わせた仕事をしていくしかないですね」
確かに、海の温度、潮の流れ、エサとなるプランクトン…。
そのすべてが複雑に絡み合い、魚たちの「当たり前」を変えています。
🐡タイもびっくり、サケのいない海
「おい、ここ北海道だぞ!?」
――そんなマダイの声が聞こえてきそうなこの光景。
けれども、もしかしたら魚たちは人間より一歩先に、
“新しい海の時代”を感じ取っているのかもしれませんね。
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