茨城の集団感染から見えてきた「見落としがちなリスク」
「結核って、もう昔の病気でしょ?」
多くの人が、そう思っているかもしれません。
しかし現実には、日本では今も毎年およそ1万人が新たに結核を発症しています。
今回、茨城県内の日本語学校で学生や教員など**19人の集団感染**が確認されたことで、改めてこの病気が“過去のものではない”ことが浮き彫りになりました。
なぜ学校で広がったのか
結核は、咳や会話の際に出る飛沫が乾燥して空気中を漂い、それを吸い込むことで感染します。
いわゆる空気感染です。
学校のように、
* 長時間
* 同じ空間で
* 多くの人が過ごす
環境では、ひとりの患者から周囲へ感染が広がりやすくなります。
今回の事例では、日本語学校という特性上、外国籍の学生が多いことも背景にあったと考えられます。母国でのBCGワクチン接種歴や、過去の健康診断の記録を正確に把握するのが難しいケースも少なくありません。
ただし、ここで大切なのは、
「外国人だから危険」という話ではない
という点です。
感染源は、意外と身近にある
結核菌に感染しても、すぐに発症するとは限りません。
多くの場合、免疫の力によって菌は体内に抑え込まれ、症状のない「潜在性結核感染症」の状態で経過します。
ところが、
* 加齢
* 糖尿病などの持病
* 体力や免疫力の低下
をきっかけに、突然発症することがあります。
つまり、感染源は学校や職場だけでなく、
実は「家族」や「身近な大人」であることも少なくないのです。
子どもにとって、結核は重くなりやすい
特に注意が必要なのが、小さな子どもへの感染です。
乳幼児が結核に感染すると、
* 全身に菌が広がる「粟粒結核」
* 脳を包む膜に炎症が起きる「結核性髄膜炎」
など、重症化しやすい傾向があります。
そのため、日本では乳児期のBCGワクチン接種が重要とされてきました。
「よく分からないけれど、受けておくもの」ではなく、
命を守るための現実的な対策なのです。
早く見つければ、広がりは防げる
今回の茨城の事例では、保健所が早期に対応し、感染拡大は抑えられたとされています。
結核は、早期発見・早期治療によって、周囲への感染も重症化も防ぐことができる病気です。
* 長引く咳
* 微熱やだるさ
* 体重減少
「風邪かな?」で済ませず、気になる症状が続くときには、受診することが大切です。
おわりに
結核は、決して「過去の病気」ではありません。
でも同時に、**正しく知れば、過度に恐れる必要のない病気**でもあります。
見えにくいリスクほど、
「知らないこと」が一番の落とし穴になります。
家族を守るために。
子どもを守るために。
そして、自分自身を守るために。
ときどき立ち止まって、
「結核は、今も身近にある」という事実を思い出すこと。
それが、静かだけれど確かな予防につながるのだと思います。
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