――「年のせい」で片づけていい話じゃない
最近、トイレが近い。
夜中に何度も目が覚める。
そんな変化が出てくると、多くの人がこう思う。
「まあ、年齢のせいかな」
でも実は、頻尿や夜間頻尿の裏に“治療が必要な病気”が隠れていることもある。
しかもこの問題、思っている以上に多くの人が経験している。
頻尿の目安は「日中8回以上」
正常な排尿回数は、成人で1日5~7回程度。
日中の排尿間隔は3~5時間に1回が一般的だ。
これが日中8回以上になると、頻尿の目安とされる。
筑波大学特任教授で日立総合病院泌尿器科の根来宏光医師によると、
頻尿の代表的な原因は過活動膀胱だという。
過活動膀胱では、
* 急に我慢できない尿意がくる
* トイレまで間に合わないことがある
といった症状が出やすい。
加齢だけでなく、膀胱の炎症、血流障害、
パーキンソン病や脳血管障害、糖尿病、腰の病気などが背景にあることも多い。
男性は前立腺肥大症が原因のことも
高齢男性で目立つのが前立腺肥大症だ。
前立腺は膀胱の出口付近にあり、肥大すると尿道を圧迫する。
すると尿が出にくくなり、膀胱に負担がかかって過敏になる。
悪化すると、
突然まったく尿が出なくなる「急性尿閉」を起こし、
救急外来を受診するケースもあるという。
頻尿は「軽い不調」に見えて、
実は放置できない状態につながることもある。
夜中に起きるのは、かなり普通。でも…
夜間に1回以上、排尿のために起きる状態を夜間頻尿と呼ぶ。
調査では、
* 60代:7~8割
* 70代前半:9割前後
が、夜に1回以上トイレに起きている。
本来、夜は尿を作りにくく、膀胱にためやすい仕組みが働く。
それが、
* 不眠
* 夜間多尿
* 過活動膀胱
などによって崩れると、夜間頻尿が起きる。
特に多いのが夜間多尿だ。
体内時計の乱れが、夜のトイレを増やす
夜間頻尿には、*概日リズム(体内時計)の乱れも深く関係している。
加齢や生活習慣の乱れで、
* 脳
* 腎臓
* 膀胱
の連携が崩れると、夜でも尿が作られやすくなる。
しかも夜間頻尿が続くと睡眠の質が落ち、
さらに体内時計が乱れる――
負のスパイラルに入りやすい。
生活でできる対策も、意外とある
症状によっては、
* 夜の強い光を避ける
* 朝は決まった時間に起きる
* 夕方に足を上げてむくみを取る
* 軽い運動を取り入れる
といった工夫が効果的なこともある。
睡眠時無呼吸症候群が原因の場合は、
その治療で夜間頻尿が大きく改善するケースもある。
実は、受診している人は5%未満
尿の症状があっても、実際に医療機関を受診した人は4.9%。
理由は、
* 病気だと思わなかった
* 年齢のせいだと思った
* 恥ずかしかった
など。
でも専門医はこう言う。
「原因や膀胱の状態が分かれば、生活上の注意点もはっきりする」
さいごに
頻尿や夜間頻尿は、
「我慢すればいい話」でも
「年だから仕方ない話」でもない。
生活の中で困っているなら、
それは体からのサインだ。
トイレの回数は、
意外と正直に、今の体調を教えてくれる。
気になったら、
少し勇気を出して、専門医に相談してみる。
それだけで、
夜の目覚めも、昼の不安も、
少し静かになるかもしれない。
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