今回のミラノ・コルティナ五輪で、ひときわ存在感を放っているのが「ドローン」。
モーグルの選手の背後から、まるで映画のワンシーンのように滑走を追いかける映像。
スピード感、雪しぶき、緊張感——まるで自分がコースを滑っているような没入感だ。
正直、映像はすごい。
SNSでも「これは革命」「今までで一番臨場感ある」と絶賛の声が目立つ。
でも。
テレビから聞こえてくる 「ブーン……」
あの音。
気になり始めると、もう耳から離れない。
SNSでは 「映像は最高だけど音が無理」 「ずっと蜂が飛んでるみたい」 と、賛否がくっきり分かれている。
選手は気にならないの?
OBS(オリンピック放送機構)によると、使用しているのは約250グラムの小型機。
15機を運用し、熟練パイロットが操縦。安全対策も徹底しているという。
しかも選手はヘルメットを着用しており、風の音のほうが大きい可能性が高いとのこと。
つまり——
気にしているのは、たぶん視聴者。
会場に設置された1800個のマイクが、あの飛行音をしっかり拾っているらしい。
ある意味、音響の優秀さが裏目に出た形だ。
今後はAIでノイズ低減も検討されているというから、技術で生まれた課題を、また技術で解決する流れになりそうだ。
テクノロジーは、感動を増幅させるか、邪魔をするか
スポーツ中継は今、大きな転換点にいる。
かつては固定カメラ中心だった映像が、ワイヤーカメラ、超高精細映像、そして今はドローンへ。 「どう見せるか」は、もはや競技そのものと同じくらい重要になっている。
個人的には——
あの映像、やっぱりちょっと感動してしまった。
でも同時に、 競技の静けさや、雪を切る音そのものを味わいたい気持ちもある。
もしかすると私たちは今、
「臨場感」と「没入感」の定義が変わる瞬間を見ているのかもしれない。
ドローンの羽音が消えたとき、 それは技術の進歩なのか、
それとも、少しだけ人間らしさが削られた瞬間なのか。
次の中継を見るとき、 あなたはどちらに耳を傾けますか?
ブーン、という音に?
それとも、雪を刻むエッジの音に?
五輪は、競技だけでなく、 “見せ方”も進化中です。
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