ぬいぐるみが“お母さん”――子ザル「パンチ」のけなげな成長物語

千葉県市川市にある 市川市動植物園 で、いま多くの人の心をつかんでいる子ザルがいます。

その名は「パンチ」。

サル山の中で、オランウータンのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて歩く姿がSNSで話題になり、「#がんばれパンチ」というハッシュタグまで生まれました。

生後6カ月、小さな命のスタート

パンチは2025年7月、約500グラムで誕生しました。

しかし母ザルは初産。真夏の出産で体力を消耗し、育児が難しい状態に。群れの他の母ザルが世話をする様子も見られなかったため、園では人工哺育を選択しました。

サルの赤ちゃんは本来、生まれてすぐ母ザルの毛にしがみついて安心感を得ながら育ちます。ですがパンチにはそれができません。

そこで飼育員たちは考えました。

 「母親代わり」になったぬいぐるみ

いずれサル山に戻ることを見据え、できるだけ群れのにおいや鳴き声の近くで育てる工夫がなされました。

そして与えられたのが、タオルやさまざまなぬいぐるみ。

その中でパンチが選んだのが、毛並みのあるオランウータンのぬいぐるみでした。

つかみやすく、見た目もどこか似ているそのぬいぐるみは、パンチにとって“安心できる存在”になったのです。

夜はぬいぐるみに寄り添って眠る日々。

まさに母親代わりでした。

 群れへ――そしてSNSで拡散

今年1月、本格的にサル山へ戻ったパンチ。

最初は他のサルに警戒され、威嚇されることも。そんな時も、ぬいぐるみを手放しませんでした。

来園者が撮影した写真や動画がSNSで拡散されると、園の公式アカウントの投稿は大きな反響を呼びました。

「がんばっている姿に泣きそう」

「毎日このタグを見て涙が出る」

「心が浄化される」

そんな声が次々と寄せられ、園の来場者数も増えているといいます。

 いまのパンチ

現在は約2キロに成長。

まだ飼育員のサポートは必要ですが、少しずつ群れとの交流も増えてきました。

他のサルに怒られても、すぐに立ち直る――その姿はとてもたくましいもの。

ぬいぐるみを抱えながら、少しずつ自分の居場所を見つけていくパンチ。

その小さな背中は、私たちに「強さ」や「優しさ」を教えてくれているのかもしれません。


サル山に立つと、ぬいぐるみを引きずりながら歩く小さな姿が見られるかもしれません。

もし訪れる機会があれば、そっと見守ってみてください。

パンチのこれからの成長を、静かに応援したくなります。


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