ロボタクシー元年を振り返る──“未来の乗り物”が日常になった一年

2025年は、ロボタクシーが「実験」から「日常」へと一歩踏み出した年だった。

かつてはSF映画の象徴だった完全自動運転タクシーが、いまや米国や中国の都市部では当たり前の移動手段になりつつある。街角でドライバーのいない車を見かけても、誰も振り返らない──そんな風景が現実になった。

その中心にいるのが、米アルファベット傘下の Waymo だ。

王者ウェイモの「着実な拡大」

2025年、Waymoは米国内5市場で本格展開し、年間乗車件数は1400万件超。

サンフランシスコ、フェニックス、ロサンゼルスでは高速道路での有償サービスも始まり、空港アクセスの利便性が飛躍的に向上した。10年以上積み重ねてきた検証データが、ようやく“日常利用”という形で花開いた格好だ。

現在は東京やニューヨークを含む26市場への拡大を視野に入れ、2026年にはロンドン進出も計画している。

ただし、その道は決して平坦ではない。

 テスラのAI路線、ズークスの専用設計

Waymoに対抗するのが Tesla 。

同社はカメラ映像をAIで解析する「エンド・ツー・エンド(E2E)」方式を掲げ、高精細マップに依存しないアプローチを採用している。2025年後半にはオースティンでRobotaxiアプリを始動。完全無人テストも一部で開始された。

しかし現時点では安全監視員が必要なケースも多く、「レベル4」の完全自律走行を安定的に実現できるかが今後の焦点だ。

一方、アマゾン傘下の Zoox はまったく異なる道を進む。

ハンドルもペダルもない“馬車型”の専用車両をラスベガスとサンフランシスコに投入。既存車両の改造ではなく、「移動空間」そのものを再設計する思想だ。量産体制も整いつつあり、体験価値で差別化を狙う。

 中国勢の物量と海外進出

そして存在感を急速に高めているのが中国勢。

Baidu の「Apollo Go」は武漢市全域をカバーし、無人運転の週間乗車件数は25万件規模に達する。

さらに驚きなのは、ロンドンでの実証実験だ。配車プラットフォーム大手の Uber や Lyft と連携し、中国製ロボタクシーを欧州で走らせる計画が進む。

ロンドンは、米中の自動運転大手が直接対決する「実験場」となりつつある。

見えてきた課題

一方で、普及とともに課題も浮上している。

Waymo車両による事故やソフトウエア・リコール、大規模停電時の立ち往生。テスラでも安全監視体制の問題が報じられた。

そして何より重要なのは「法整備」だ。

英国では2024年制定の Automated Vehicles Act 2024 により、事故時の責任主体を明確化。これが商用化を後押ししている。

技術だけでなく、ルールが整ってこそ社会実装は進む。

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## 2026年は“真価”が問われる年

2026年、ロボタクシー業界は「技術の証明」から「持続可能なビジネス」へとフェーズが移る。

多くの企業が2027〜28年の黒字化を掲げるが、採算確保は簡単ではない。完全無人車と有人タクシーを組み合わせる「ハイブリッド型」が現実解になる可能性もある。

✍️ まとめ

2025年は確かに、ロボタクシーが“未来”から“日常”へと降りてきた年だった。

しかし本当の勝負はこれから。

技術、法整備、収益モデル――三位一体で社会に根付くことができるのか。

来年の今ごろ、私たちは「完全無人タクシーに乗ること」を、さらに当たり前のこととして受け止めているだろうか。

その答えは、2026年の戦いの中にある。


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