重度のナッツアレルギーを持つダニエル・ケリーさんは、搭乗のたびに客室乗務員へこう依頼しています。
> 「機内でナッツを食べないようアナウンスしてもらえませんか?」
過去には、座席トレーに残っていたナッツの粉末が原因とみられるじんましん症状を経験。
それ以来、搭乗前に座席周辺を入念に拭き掃除するようになったそうです。
SNSに投稿された動画は大きな反響を呼び、
* 「命が助かるなら協力する」
* 「他人の行動を制限するのは違う」
と、賛否が分かれました。
■ 航空会社で分かれる対応
✈ イギリスの場合
ブリティッシュ・エアウェイズでは、
機内アナウンスで「ナッツの摂取を控えてほしい」と乗客に協力を呼びかけています。
「お願い」という形ではありますが、明確に配慮を示している点が特徴です。
✈ 日本の場合
一方、日本ではどうでしょうか。
全日本空輸(ANA)では、
* アレルギー対応の機内食の提供
* ナッツ不使用のおつまみ
* 事前申請による座席周辺の特別清掃
などの対応を実施。
ただし、他の乗客にナッツを控えるようアナウンスは行っていません。
日本では「個別対応」が基本方針となっています。
■ 医学的に見るとどうなのか?
日本アレルギー学会理事長の海老沢元宏教授は、
> ナッツの小さなパッケージを開封しただけでも、
> 非常に敏感な人には呼吸器症状が起こる可能性がある
と指摘します。
つまり、完全に「ありえない」とは言い切れないのです。
特に飛行機内は、
* 密閉空間
* すぐに医療対応ができない
* 逃げ場がない
という特殊な環境。
不安が強くなるのも無理はありません。
■ 当事者の声は割れている
重度のナッツアレルギーを持つ子どもや保護者15人への調査では、
* 国際線搭乗に「不安がある」…12人
* ナッツ摂取を控えるアナウンスが「必要」…8人
* 「不要」または「分からない」…7人
と、意見は分かれました。
必要派の声
* 空の上では医療対応が難しい
* 微量でも症状が出る
* 航空会社のリスク管理として必要
慎重派の声
* 個別対応で十分
* 個人の事情で全体を制限するのは難しい
* 他人の自由とのバランスが難しい
当事者の中でも考え方が一様ではない点が、この問題の難しさを物語っています。
■ 国のルールは?
国際的な統一基準はありません。
IATA(国際航空運送協会)は、
「他の乗客の持ち込み食品は管理できない」としています。
カナダでは、対象者の周囲でナッツ摂取を控えるよう求める制度がありますが、
日本では国としての明確なルールはなく、各社の自主判断に任されています。
■ 命の安全と、自由のバランス
この問題は単純ではありません。
* 命に関わるリスクをどう減らすか
* 他の乗客の自由をどこまで制限するのか
* 航空会社の責任はどこまでか
「どちらが正しい」という話ではなく、
どうすれば全員が少しずつ安心できる環境を作れるかという議論が必要なのかもしれません。
たとえば、
* 事前申請で周囲数列を配慮エリアにする
* ナッツ持ち込みに関する事前周知を強化する
* アレルギー教育の啓発を進める
など、折衷案も考えられそうです。
■ これからの“空の旅”に求められること
子どものナッツアレルギーは増加傾向にあります。
今後、同様の議論は避けて通れないでしょう。
誰かが我慢する社会ではなく、
「知ること」から始まる共存のかたち。
空の上でも、それが実現できるのか――。
私たち一人ひとりの理解が問われています。
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